こちら福岡では、テレビをつければ地震のニュースばかりやってます。私の住んでいる地域では体感できるほどの規模ではありませんが、未だ余震も続いてるようで決して気の抜けない状況です。今回の地震をきっかけに災害についてまったくの無関心だった今までの自分を深く反省しつつ、災害対策グッズを購入しに近所のホームセンターに行ってきました。

店に入ると、真っ先に目に飛び込んできたのが、ナイスプライスな衣料品の数々。オシャレに敏感な私は夢中になって狙っていた春物を物色しまくります。その中でかなりホットなアイテムを発見したので、ここでその幾つかを紹介したいと思います。

《その一、男らしい真っ青ジャケット》
多少季節はずれな感じはしつつも、1980円というアツい価格に購買意欲がそそられます。名前はよくわかりませんが、とにかく作業着的なワイルドなジャケットです。胸元に『○×工務店』とか刺繍が施してありそうなナイロン素材の青いアレですよ。無骨なデザインもさることながら、北の国からでは田中邦衛が、ひょうきん族ではビートたけしが着用するなど芸能人御用達アイテムとして要チェックの一品です。

《その二、ブルドッグのワッペン付きジャージ》
もはやヤングカジュアルの定番となった非常にナウいジャージです。アメリカのブラックカルチャーと日本のヤンキーカルチャーの融合とでも申しましょうか?オーバーサイズで着こなしつつ、YAZAWAって書いてあるタオルを頭にまくなどすれば、みんなが振り返ることは間違いありません。さらに上下セットアップで着ると東京生まれヒップホップ育ちのハイセンスな空気が感じられますね。誰からも相手にされない孤独な私も、これを着れば大体の悪そうなヤツと友達になれそうな気がします。

《その三、厚底ブーツ》
今年(2005年)大流行の兆しを見せるビニール製のブーツです。残念ながらレディースのため私が履くことは出来ませんが、チョベリグなアムラーたちの間ではマストアイテムになることは必至でしょう。またブーツの置いてある商品棚に、全く関係のない浜崎あゆみの切り抜きが貼り付けてある点にも注目です。女性には是非ともセクシーかつクールに履きこなしてほしいアイテムです。

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これらのファッショナブルな商品に目を奪われていると、危うく本来の目的を見失いそうになってしまいました。私はいつ来るやもしれない大災害に備えての防災グッズを買いに来たのです。生死に関わる買い物に来たのですからオシャレなんぞに現を抜かしている場合ではありません。てコトで、後ろ髪ひかれる思いで売場を後にしました。

とりあえず懐中電灯は買っておくべきでしょう。電気のない状態で暗い夜を過ごすとなると大変に危険です。危険なうえに何か寂しいです。数種類ある懐中電灯の中でドレがいいか迷っていると、家にあるのと全く同じモノを発見!「うわぁ~コレ、家にあるぅ~」なんて馬鹿騒ぎしていましたが、よく考えると既に懐中電灯は持っていたんですね。無駄買いしそうになるおっちょこちょいな自分にテヘッと可愛く舌を出しつつ、次なる売場へと進みました。

そこで目についたのは、園芸コーナーに置いてある長い棒の先に刃がついた道具です。手の届かない高いところの枝なんかを切るハサミ、つまりは高枝切り鋏ですよ。何でもないような道具ですが見れば見るほど興味が湧いてきて、触ってみたりいろんな角度から眺めたりしているうちに無性に欲しくて溜まらなくなりました。しかし、高枝切り鋏なんて災害に関係ないような……そんなことはありません!!非常事態における高枝切り鋏の有効な活用方法だってあるはずです。ちょっと想像してみましょう。

「くそぅ、、、街が崩壊してからの数日間ロクなもの食ってねぇ。何処まで行っても瓦礫の山で、食べるものなんて何も………ん!?あんなトコロに柿が生っている!!でもなんて高い柿の木だろう。とても手が届きそうにない。ハッ!そうだ!この高枝切り鋏を使えば……チョキン!よっしゃ!これで何とか生き延びることが出来るぞ。いっただっきま~す♪」

素晴らしい!素晴らしすぎます!やはり持つべきものは高枝切り鋏です。さらに想像は広がります。

私「おや?大災害で廃墟と化したこの街で、何やら凶器を持ったギャングが子供を襲っているぞ。」
ギャング「へへぇ、ボウズ!おまえの持っている食料をコッチに寄こしな。」
子供「ダ…ダメだい!これは病気の母ちゃんにあげるんだい!」
ギ「どうやら死にてぇらしいな。だったら力ずくで言うコト聞かせてやらぁ。」
私「やめるんだ!」
ギ「何だ貴様は?邪魔するつもりか?しゃらくせぇ。こうなりゃ貴様から俺様のナイフの餌食だ。くらえ!」
子「あ…あぶな~いッ!」
私「そうはさせるか!タカエダキリバサミ・アタック!!」
ギ「ギャー!何てリーチの長い武器だ…しかしその長さこそが命取りよ。接近戦に持ち込めば貴様のハサミは使い物になるまいて。死ねぃ!」
子「こ…今度こそダメだ~ッ!」
私「これで決まりだ!タカエダキリバサミ・スラッシュ!」
ギ「な…何故だ!そんなハズは……うわぁぁぁぁぁ!!」
私「おまえに一つ教えてやろう。高枝切り鋏の棒は脱着式だと言うことを。」
子「謎のオジさん!助けてくれてありがとう!」

どうですか?こうして考えると、ホームセンターの店内で高枝切り鋏を見つめながら思わず涙です。災害によって無法地帯となった街では何が起こるかわからないのです。柿を欲して街を彷徨うようなはだしのゲン的非常事態やギャングが暴力に物を言わせる北斗の拳的非常事態は、いつ襲ってくるかわかりません。ナントカとハサミは使いようって言うでしょ?絶対に買っておいて損はありませんよ。それにしても良い言葉ですね。バカとナントカは使いようって。とにかくバカとハサミはナントカですから何かの役に立つはずです。

街が無秩序の混乱状態に陥っても、柿も食べられてギャングも倒せるとなれば確かに便利な高枝切り鋏ですが、そんな極度の混乱で人々が暴徒と化すことを考えれば、平時に何を買ってもあまり意味はないような気がしてきました。と言うのも、ルールの崩壊した世界では所有者の権限なんて無効です。モノが欲しければ強奪すればいいのですから。倉庫から商品をダンボールごと持ち出すという某タレントのようなマネをするのもアリです。いざコトが起これば、ホームセンターの瓦礫を掘り起こして非常食やオシャレアイテムや高枝切り鋏なんかを丸ごといただいちゃえばいいんです。

災害で秩序が破壊され、自分が生きるために同じ人間同士で争い、血を流しあう。本当の混乱状態になればそれも仕方ないことなのかもしれませんが、何だか悲しいじゃありませんか。そういうワケで私は混迷の非常事態に備えてある物を一つだけ買って帰りました。

パーティークラッカー(98円)です。

紐を引っ張るとパーンってなる愉快なアレです。街が荒野と化し人々が希望を失ったとき、一番必要なのは不幸を乗り越えて笑顔で生きていくコトではないかと思ったからです。非常時だからこそ笑いを生むことは大切であり、楽しいパーティークラッカーで人々の希望を取り戻すことも出来るはずです。災害時に最も重要なものはパーティーアイテムなのです。

私の住む地域は、今回の地震の被害は特になかったのですが、帰宅後なぜだかはやくもクラッカーを鳴らしたい衝動に駆られています。

投稿者 mrm

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