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ようこそ『とある何人の一言』へ。笑いの観点から社会を正す謎の男、ミスターMが私の個人的な価値観を拠り所に、刺して刺して刺しまくります。

第七回掲載「花火のように美しく散る」

      2014/10/08

毎日クソ熱いですが皆さん夏バテなんてしていませんか?今回お話するのは世界で最も夏が似合わない男として誉れ高い私のサマーレポートですよ。

私の家の近所の公園では、毎年この時期になると夏祭りが開催されておりまして、それが実は結構な規模なわけです。○○花火大会なんて銘打たれておりますから、当然のごとく祭りの中のメインイベントとしてドデカい花火が夜空を彩るんですね。う~む、ロマンティック!

さて、その祭りの開催地ですが、私の家からだと近所すぎるにも程があると言うくらい近いので、部屋の窓を開けるだけで家に居ながらにして花火の大迫力の重低音と映像美に酔いしれることが出来るのです。

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これまで自室に引きこもりながらも祭りを楽しめるということで窓からの景色のみで満足していた私ですが、今年になってやっとあるコトに気付いてしまいました。…いや、初めから気付いてはいたのですが自分を騙し続けるのにも遂に限界が来ました。

私は実際にその祭りに行ったことがないのです。

参加していないにも関わらず、私は本当に祭りを楽しんでいると言えるでしょうか?こんなことでは今年の夏は終われません。早速地元の商店街でもらった町内会の団扇を、サムライの帯刀よろしく腰に突き刺し、未踏の地への初陣です。

時間にしておよそ五分後、徒歩にて現地へ到着しました。会場に一歩足を踏み入れると、近所であるがゆえに本来はホームなはずの公園が完全にアウェイの雰囲気丸出しです。すれ違うのは友達グループやカップルばかりで各々愉快にハシャいでいます。思い付きで単身斬り込んできた私は完全に浮いていますが、祭りを楽しむために、そしてこの夏を悔いのないものとするために、私は彼らに負けじとハシャがなければなりません。

花火までの時間を潰すため、その辺をうろうろ徘徊しつつ夜店に寄ってみました。するとかき氷屋を発見!いやはや、サマー全開!祭り満開!これこそ私の求めていたものです。私も夏の醍醐味であるかき氷を買わんと店の前にできた客の列に並んでみたところ、何やら目の前のカップルがどのかき氷にするかでモメている様子です。

ナニ味にするか決めかねているカノジョと思しき女性に対して、カレシと思しき男性は優しく微笑みかけるという気分を害するような不愉快な光景が眼前で展開されています。私としては、そんな気持ち悪い奴らには真っ赤なシロップをかけた血の味のかき氷を御馳走してやりたいと思っていたのですが、結局は無難にイチゴか何かに落ち着いた様子でした。そして次なる私の番がまわってきたんですよ。夏っぽく頭にタオルを巻いた店のオジサンにこう注文しました。

「かき氷くださ~い。」

「はいよ!幾つ?」

いやね、当然一つですよ。一人で来たんですからね。しかし一人で来たということを周りに悟られるわけにはいきません。ココで私の心に潜む寂しさと悲しさ、人生のやるせなさを露呈してしまうと折角の楽しい夏祭りが台無しです。気持ち悪いカップルどもには負けてられません。

そして気付けば本来の倍の代金を支払い、なぜか両手に一つずつのかき氷が!二人分のかき氷を持っていると、何だかそれだけで仲間といるような気がして自然と笑みがこぼれてしまいます。しかも両方メロン味です。味の嗜好も同じだなんて何という仲良しでしょう。私(たち)はこれ以上ないほど夏を満喫しているのです。

ベンチに座り、かき氷を美味しくいただいていると、普段食べている味とは明らかに深みが違います。メロンの甘さが口の中に広がる一方で、人生のほろ苦さや世の中の世知辛さ、そして悲しみの涙のしょっぱさが心に染みてきます。

そんなわけでもう限界です。

夏は時として残酷です。照りつける太陽が大地に恵みをもたらす一方で、枯れた大地を生みだすのもまた夏のいたずらです。夜空をキレイに彩る花火も同様に、その美しさを盛り立てている背後には暗い闇が広がっているのです。一人家路につく途中そんなことを考えていました。

夏をエンジョイするという私のささやかな希望は、まるで線香花火のように儚く消えていったのです。例年と同じくやっぱり今年も自室の窓から見る花火を前に、少しセンチメンタルな思いに駆られた夜でした。

つぅか、かき氷の二倍量でしかも同じ味はキツいです。

そういうことでまた来月(まで私が生きていたら)お会いしましょう。

 - コラム掲載

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