とある何人の一言 – ミスターMの大気圏突入 –

ようこそ『とある何人の一言』へ。笑いの観点から社会を正す謎の男、ミスターMが私の個人的な価値観を拠り所に、刺して刺して刺しまくります。

第八回掲載「天災(台風)vs天才(ミスターM」

      2014/10/08

アメリカではルイジアナ州のハリケーンの被害が甚大なようで、痛ましい被害の模様は日本でも連日報道されていますが、NYの皆さんはご無事でしょうか。

さて、アメリカを襲ったカトリーナと時を同じくして、こちら日本にも台風14号が上陸して参りました。この台風が日本列島に上陸すること自体は数日前からの天気予報で知ってはいたのですが、日毎に明らかになってくるその規模と進路予測を見ると、最初はボンヤリとしていた進路ラインがだんだんハッキリとしてきて、それが我が家の真上を通っているんですね。こりゃもう直撃は避けられません。

この台風直撃の前日夜から、私は翌日起こるであろう惨事に恐怖しつつ、同時に住み慣れた地元が非日常の夢の国に変わるのではないかという興奮もあり、軽くテンションが上がって寝付けなかったりしたのですが、何時の間にやら熟睡。そして翌朝、外から聞こえるいかがわしい喘ぎ声で目が覚めました。

「むおぉぉ~ん」

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「あををぉ~ん」

いやいや、朝っぱらから何ですか。迷惑千万の無法者を一括してやらんと起き上がり窓を開けようとすると、なぜか窓が異常に重いんです。そしてどうやら喘ぎ声とも呻き声ともつかぬホラーな声はこの窓から発せられているようです。つまり前日の戸締まりが甘かったのか、窓とサッシの間に極小の隙間があり、その小さな隙間から物凄い勢いで風が入り込んでくることによって発生する音、要は笛の原理ですね。

しかしこの不気味な唸り声はどう考えても我が家が断末魔の悲鳴をあげているようにしか思えません。今にも崩れんばかりのボロ家ですからいささか不安になりますが、荒れ狂う風雨のなかを車で出掛けるなんて自殺行為ですし、その日は電車やバスなどの公共機関もことごとく運休してましたから交通は完全に麻痺していたおり、これはもう一日中家の中に引きこもらざるを得ません。まぁボロ家でも雨風は凌げるわけですし、窓をキチンと閉めれば変な音もやみますから台風なんて恐るるに足らずです。

いかにデカい台風と言えども家の中にいれば安全なわけで、猛烈な雨風をよそにのんびりとテレビでも観ながら余裕の一服を、、、なんて思っていたらアラ不思議!

煙草が切れてしまいました。

これは思わぬ盲点です。そしてタイミングが悪すぎます。ともかく私は家の中なら大丈夫と思った矢先に外に出るハメになったのです。窓の外に広がる地獄絵図を見て、急遽禁煙でも始めようかとも思いましたが、最寄りの自販機までわずか数十メートル。全力で走れば10秒そこそこ、往復でも30秒程度ですから何とかなるはずだと踏んだ私は、すぐさま濡れても大丈夫そうなナイロンのジャージ上下に着替えました。まるで早朝ジョギングにでも出掛けるかのような爽やかな出で立ちです。しかし足元がジョギングシューズだと靴の中に忽ち雨水が浸水してきますから、庭先にあるベランダ用サンダルで雨対策する必要があります。

庭先に出てみると、あろうことかそこに鎮座しているはずのサンダルが消えています。そんなはずはないと辺りを見回すと、雨水によって庭の片隅に本来なかったはずの池ができておりまして、その池の中央にぷかぷかと片方のサンダルだけが浮かんでいました。しかも元々は足裏部分にイボのついた健康サンダルだったはずがイボの隙間に土と枯れ葉がビッチリと詰まり、凹凸が完全になくなっています。片方しか見つからず、いっそのことサザエさんばりに裸足で駆けてこうかとも思いましたが、路上には風に煽られた色々なモノがトラップの如く散乱しているわけで、仕方なく普通に靴を履いていくことに。

行ってきまぁ~す。なんてスポーティな格好で軽やかに玄関のドアを開けると、目の前の街路樹が翻る旗の如く衝撃的な揺れ方をしていました。もうこれは地下鉄構内におけるマリリンモンローのひらめくスカートそのものです。道に沿って整然と並んでいるマリリンの下を全力で駆け抜ける私。猛烈な雨で前が見えないため、薄目のまま運とカンだけで前進です。

辛うじて目的地に到着し、自販機に千円札を投入するも、財布から出したお札がズブ濡れです。そのためか自販機に突っ込んだ紙幣が無情にも溜め息のように吐き出されてしまいます。これは隣接する酒屋で両替しかありません。と思ったら、店先のシャッターが悲しくも閉じておりまして、何やら張り紙がしてあります。

『台…により…迷…』

『台風だから休みます』みたいなことが書いてあるのでしょうが、雨で滲んで読めません。しかも赤マジックで書いてありますから、これじゃ店のおばちゃんが死ぬ間際に残した血文字のメッセージです。台風にやられたおばちゃんの死、そして煙草の買えない無念さからか私の頬を一筋の涙が伝いました。しかしその涙もドシャ降りの雨にかき消されてゆくのです。

 - コラム掲載

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